「岩月謙司」を振り返る1

「岩月謙司」という人物を覚えている人、いますか?

「誰それ?」「ンな奴、知らねーよ」となる人が大半だと思いますが、「思い残し症候群」・「幸せ恐怖症」という言葉を思い出す人が、極少数いるかもしれません。それよりも「育て直し療法」の衝撃映像でしょうか?

この人は今から20年ほど前(2000年前後)に、恋愛指南本のベストセラーを飛ばしていた元・大学教授です(詳しくはコチラ)。その頃はちょうど男女の性差を論ずるハウツー本の出版が相次いでいて、その流れに乗る形でメディアに登場した感じの人でした。著作数は、Wikipediaを見ていただければ分かる通りの多さです。

そしてこれらの本の大半が、出版不況もどこ吹く風、とばかりにベストセラーになりました。その後準強制猥褻で逮捕され(2004年)、大学を解雇され、裁判で有罪が確定(2009年)し、世間から忘れ去られていくという末路を辿ろうとは想像もできません。はっきり言って「過去の人」です。

なんで今更、そんな人についての記事を書いたのか?といいますと、まぁ、色々と思うところがあるのですよ。男とは~、女とは~という決めつけが頻発する本がベストセラーな事にダンマリなフェミニストやら、作者と対談しながら有罪確定に対してほっかむりな共著者やら、「売れるから」と、根拠の怪しい俗流心理学の本を刷りまくっておきながら、有罪確定後も検証も反省もしない出版業界に対して。特に出版社に対しては、最近のヘイト本出版ラッシュにも通じるものがある気がします。

それに、#Metoo運動が展開され、「男性脳」「女性脳」という言葉を使った本がベストセラーとなっている現在、もう一度この人物について考えてみたら新たな発見があるかもしれない、と考えたからです。

さて、2000年当時成人するかしないか、だった私は当初「なんか最近、この人本出しまくってんなぁ」くらいしか思っていませんでした。元々そんなに興味なかったのです。むしろ、世に溢れる「男女差異本」には疑いの目を向けていた方でした。「ホントウか〜?」と、一応理系らしく。しかし「岩月本」はちょこっと立ち読みしただけなのに、なぜかどっぷりハマってしまったのです。当時「だめ恋愛」なんて全くしておらず、親子関係だって悪くはなかったにも関わらず。

一体なぜ?Why?

平易な読みやすい文体のためか、自分の意識が作中の相談者に同化してしまったからか、所々に出てくる「それっぽい」理論や用語が、一見科学的で説得力があったからなのか。いまだに理由はよくわかりません。

そして、気がついたら出版される著作を本屋で片っ端から立ち読みしまくっていた、という訳です(←んな暇あったら勉強せんかい)。結果、理系の端くれであるにも関わらず、一時期その理論を8割方信じていました。所々違和感や疑問、引っ掛かりを感じてはいましたが(だから8割)、ページをめくる手が止まりませんでした。この状態が2004年の6月頃まで続いたのです。

さて、ハマってしまったと書きましたが私、実はこの人の本、一冊も購入していません。All立ち読み(新刊or古本)、または図書館です。しかし今になってつくづく思うのは、

買わなくて、よかった ! !

です。えぇ、本当に。性犯罪者に金渡すなんて冗談じゃない。それに上記で著者が逮捕された、と書きましたが実はこの人、逮捕後数年間裁判で無罪を争って、なんと最高裁まで行ってるんですよね。そこまで争うには、当然多額の費用がかかります。弁護士費用、etc、etc…そのカネどっから出したんだ?って本の印税しか思いつきません。何たってベストセラー本の作者です。つまり恋愛指南本で稼いだ印税を、強制猥褻の無罪判決を得るために活用したってことです。まぁ、個人のカネを何に使うかは個人の勝手ですがね。

それ、フツーやるか?

まともな神経してたらできないと思うのですが。道義的にも、世間体的にも。まぁ、この行為そのものが、この人の人間性を証明な訳で。もし私がこの人の本を買っていたとしたら、大ショックだったでしょう。しばらく自己嫌悪で身動き取れない位に。ですから、本当に買わなくてよかったなぁ、としみじみ感じます。この点に関しては、自分で自分を褒めてあげたい! !(ドヤ顔)

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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