前回に引き続き、偉人伝話。
主に小学生の頃に、たくさん偉人伝を読んでました。(半分は学習漫画)で、大量に読み込んでいるうちに、だんだんと疑問や引っ掛かりを感じることが多くなりました。しかもいくら読み込んでも、よく分からない・全然理解できないものばかり。不愉快なモヤモヤが心に溜まっていきました。列挙するとこんな感じ。
- シューベルトの死に方が急すぎる。元から体が丈夫でないとは言え、こんなにアッサリ死ぬのか?(食あたりか腸チフスで寝込む→無理して悪天候の中、ベートーベンの葬儀に出席→更に体調悪化し死亡)
- チャイコフスキーの人生、女っ気なさすぎ(結婚には失敗、資産家女性からの資金援助はなぜか途中で断る)
- ナイチンゲールが「看護婦になりたい」と言った時の家族の反対が激烈すぎ(当時は看護婦=だらしない女性、のイメージがあったとは言えここまでか?)
- シューマンが入院した後、自殺未遂を繰り返すに至ったその過程が不明瞭(創作が行き詰まってノイローゼになったのかと思った)
- 野口英世が研究していた「梅毒スピロヘータ」という病気の説明が大雑把すぎて意味不明(チフスやコレラの説明文とは明らかに違い、感染経路も症状も全然書かれていない)
- ヘレン・ケラーの人生が勉強と講演ばかり。それで人生楽しかったのか?(障害者の恋愛、は時代からしたら難しかったかもしれないが、それで良かったのか?)
これらのモヤモヤ、成人したあたりから、少しづつ溶けていきました。まあ、結論からいうと
性にまつわるエトセトラ
だったのです。具体的にあげると
- もともと梅毒、及び水銀療法のため体力がおちていたから
- チャイコフスキーはゲイだった
- だらしない、とは「性的な意味で」だった(要は娼婦のイメージがあった)
- シューマンの精神疾患は、梅毒の末期症状
- 梅毒は性感染症のため、子供向けの本では詳しく説明できなかったから
- 好きな人はいたらしいが、周囲が(特に母が)引き裂いた模様
ということでした。「偉人伝」ですもの、「聖人伝」ではありませんから。泥臭く生臭いエピソードがあって当然です。しかし1,4,5,が、「梅毒」という一つのキーワードで繋がってしまったのはびっくりでした。どんだけ流行してたんだ。
野口の伝記について:梅毒が説明しづらい病気だとしても、梅毒の説明が不完全だと、野口の功績がうまく伝わらないのでは?「一部の精神疾患は感染症が原因で起こる」ということを発見した功績が。高校生くらいで性教育も絡めて、しっかり教えてもいいんじゃないかと思います。親から苦情が来ても「偉人の生涯について教えました」と言えばなんとかなるかも。
ちなみに、梅毒の説明文は脚注で「梅毒スピロヘータによって引き起こされる、恐ろしい法定伝染病」と書かれていた感じでした。梅毒が「梅毒スピロヘータ」によって引き起こされる、というのは本文中で既に説明されているし、恐ろしいからこそ「法」で「定」められていて、野口が必死こいて研究してるんだろう!もうトートロジー、同語反復のカタマリで説明になっていませんでした。不親切すぎて腹が立つ文章でした。