乙武サンについて11 親のしつけ?

さて乙武氏の不倫騒動の後、”氏があんな性格になってしまった理由”としてネットの掲示板に溢れたのは、「親のしつけが悪いから」という意見が大半でした。「どうせ、親が甘やかしたんだろ。かわいそう、かわいそうって」等々。まぁ、予想通り。当初、私もこれらの書き込みに「そうだ、そうだ!」と、全面的に同意して読んでいたのですが、ある時ふと疑問を感じました。

「本当にそうか?」

と。

なぜそう思ったかと言いますと、まず氏の年齢。当時の乙武氏はアラフォー、成人してから20年弱が経過した立派な大人でした。親のしつけの効果が及ぶには時間が経ち過ぎている、というか親の責任を問うには育ち過ぎている、という感じがしたのです。つまり、親のしつけが直接的に作用したとは考えづらい。

んじゃ、何が原因なのか。思い当たったのが、アメリカの心理学者、ジュディス・リッチ・ハリスの集団進化論です。この理論を一言でいうと「子供の人格形成は、親や家庭より友達や仲間の影響を受ける」というもの。要は「家庭環境よりも子供の人生に大きな影響を与えるのは学校」だということです。つまりこの理論に則って考えると、乙武氏があんな性格(助けてもらった当たり前・周囲に感謝しないというゲスい性格)になってしまったのは、周囲の人との関係が原因の可能性が高い、と推測できます。

乙武氏がどんな環境で育ってきたかというと、幼稚園〜大学まで一貫して健常者の中で過ごしてきた模様です。養護学校(当時)ではなく、普通の公立小・中・高の普通学級に通っていた事が著書からも確認できます。つまり、彼は健常者の集団の中でただ1人の重度障害者であった。この立ち位置がマイナスに作用したのではないか。

彼は一目で重度障害者とわかります。そのため、普通に接しよう接しようと心がけたとしても、やはり大なり小なり気を使ってしまう存在です。いくら先生が「特別扱いはやめよう」と指導したとしても限度があります。同級生も、差別だ!いじめだ!と言われたくないので、過剰に丁寧に接したり、遠慮したり、彼がスムーズに行動できるように先回りして助けたこともあったかもしれない。そして彼は、クラスどころか学校で唯一の重度障害者(多分)であり、周囲の気配りや手助けを独占することができるわけです。こんな状況が15年以上続いた結果、友達は自分を助けて当たり前!周囲が自分のために動くのは当たり前!気を使うのは当たり前!になってしまい、あの様な性格と化しまったのでは。

もし、彼が養護学校(当時)に通っていたらどうなっていたでしょうか?障害の重さ故、養護学校でもそれなりに気を使われたかもしれないが、それは普通学級の比ではないくらい小さいでしょう。とにかく周囲は、程度の差こそあれ全員障害者。氏が困っていたとしても、全面的に助けるのは無理。もちろん先回りして助けるのも無理。皆自分の障害のことで精一杯で、そんな余裕はありません。当然、周囲の気配りや手助けを独占なんてできません。とすると、少なくとも「友達は自分を助けて当たり前 !」という認識は生まれづらい。例え「ボクは手も足もないんだぞ!」と言ったところで「それが何?」と返されて終了でしょう(萎縮して黙ってしまう子はいないだろうし、もしかしたら言い返してくる子もいるかもしれない)。助けが欲しい時は、「助けてください」と自分で意思表示することも教わります。ということは、少なくとも「車椅子対応レストランを調べる」くらいはできる人間にはなったはずです。つまり、障害を盾にして周囲を意のままに動かす人間にはならなかった可能性は高い、と私は考えます。

結論:氏があの様な性格になった原因の大半は、親のしつけではなく、周囲の環境である。しかし、その環境を選んだのは氏の親である。従って氏の親の教育方針の所為だとは言えます。氏を養護学校ではなく普通の学校に通わせると決めたのは、氏の両親なのですから。それでも、家庭で感謝の心や周囲への気配りを教えていれば、ちょっとはましだったかもしれないませんが、結局それが失敗しているんですよね。氏のご母堂はあちこちで講演会を開いていたらしいですが、一体何を語っていたのやら。

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

コメントを残す