「労働力不足」

「少子化による労働力不足」が騒がれるようになって、早何年でしょうか。そしてこの「労働力不足」という言葉から、ある本のある一節を思い出しました。

(シンクタンクのみなさんが)将来減少すると心配している「労働力」とは、おもに単純労働の従事者を想定しているという点も気になります。将来社長が足りなくなるとか、学者や政治家が足りなくなるなんて話は一向に聞かれないのです。(中略)庶民を見下した心配なのです。

反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ 2004年 イースト・プレス(現在はちくま文庫)

しかしこの本の出版から約15年後、2019年春の地方選挙では、過疎に悩む地方自治体のみならず、政令指定都市でも無投票当選の選挙区が出てしまいました。つまり「政治家が足りなくな」る事態になってしまったのです。原因の一つとして「人任せ」思考があるのではないか、という分析を日経新聞で見かけましたが、それだけではない気がします。もちろん、少子化=政治家不足という単純な図式でもない。

しかし、一方で「社長が足りない」という話は聞きません。要因の一つとして考えられるのは2006年の法改正。起業に対するハードルが下がったことがあげられます。

「政治家になる」というハードルを下げることが必要ではないでしょうか。その一つとして、「選挙供託金の廃止または大幅減額」という案を日経新聞で見かけました。これには賛成です。「年収300万円時代」が予言されて16年が経過、まとまったお金を没収覚悟でホイホイっと出せる人は少数派(というか奇人)です。諸外国では供託金がそもそもなかったり(アメリカ・フランス等)、あったとしてもせいぜい20万円くらい(カナダ・イギリス下院)の所が多いようです。昔「選挙用ハガキの横流し売買」で小金を稼いでいた輩がいたらしく、その点を心配する声もあるようです。が、今時そんなせせこましいことで小金を稼ぐ人はいるのでしょうか?みんな、手っ取り早く大金を稼げる振り込め詐欺や、ネトゲのアイテム売買に行ってしまうのでは?

というわけで、「選挙の供託金を下げる」というのはかなり有効ではないかというのが私の見解です。若手議員の皆さんには頑張ってもらいたいです。

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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