障害詐欺1

今から15年ほど前、ハタチそこそこの頃、図書館で「笑う新聞 著:新保信長 MFペーパーブックス」という本を読みました。4大紙の社会面に記載された「微妙に笑える記事」を厳選しツッコミを入れまくる、という内容の本でして。このスタンスと、どこかズレた文章がかなり好きです。

で、その中に「墜ちた演技派」というタイトルで紹介されていた事件が

「失明を装い保険金を3億詐取」

(1984年、愛媛)というもの。バレたきっかけが間抜けなものだったので、全国ニュースになり、その後この本で取り上げられた次第。話の流れは、まず犯人が経営していた店に強盗が入った。そして全盲のはずなのに、強盗の人相を詳しく話したことに警察が不審をいだき、内偵→逮捕ということです。

この件を知ってまず著者同様、「5年も失明を装っていたこと」に驚きました。が、次の瞬間頭に浮かんだのは以下の考え。

「視覚障害を装った詐欺ができるなら、聴覚障害だってできるのでは?」

なんで、こんな思考が浮かんだか?と言いますと、小学生の頃読んだ福祉教材の内容を思い出したから。「聴覚障害は見た目でわかりづらい(ので、皆さん気にかけてあげてください)」みたいなことが書いてあったんですよね。で、見た目でわかりづらいなら人を騙すことも比較的ラクだよな、と思ってしまったのです。(我ながらイヤな思考回路だ…)

だからその数年後、北海道周辺で身体障害者手帳集団不正取得事件が発覚した時も、別に驚きませんでした。「あぁ、やっぱりやるヤツいたか」と思っただけで。しかし、不正取得した人数が800人超・逮捕者も20人超という大規模さは衝撃でしたし、そこそこ怒りも沸きました。

でも、聴覚障害を装った事件はこれで終わらないんですから、もう脱力してしまいます。この後に、あの「佐村河内騒動」が発覚するのですから。

余談:1984年の愛媛の件ついては「詐病 著:牧 潤二 日本評論社」という本に詳しく載っています。実は犯人はそこまで演技していた訳ではなく、家族や福祉関係者は「見えている」と薄々気づいていたようです。そして、犯人の周囲に暴力団や政治家の影が見え隠れしていた事、病院も患者を信頼するしかなかった事、病院同士の連携がうまく言っていなかった事、等の悪条件が重なって長期間発覚しなかったというのが真相のようです。また、意外なことに眼科は詐病がもっとも多く見られる診療科の一つだそう。すぐにバレそうなジャンルだと思うんですがねぇ。なぜでしょう?

笑う新聞  詐病

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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