日本国憲法と強制不妊手術 日経新聞コラムより

今日は、少し前の話題です。以前、日経新聞・コラム春秋にて憲法学者の棟居快行氏の問いが紹介されていました。戦後の憲法学は何をしてきたのか、と。

ハンセン病元患者の隔離や障害者らへの強制不妊手術は、なぜ基本的人権の尊重を原理とする現行憲法の下でかくも長く続いたのか

2019年5月29日付、日経新聞・コラム春秋より

そして棟居氏はこう指摘します。

戦後の憲法学は主に、自立的な「強い個人」を人権保証の対象と考えてきたのではないか

同上

まぁ、そうかもしれません。が私見を言わせて貰えば、その割合はせいぜい2割くらいではないのか。では、残りの8割は何が原因か?って、それは間違いなく

憲法9条

にあるでしょう。戦後(特に20世紀中)の憲法論議といえば、その大半が「9条絡み」に終始していた感があります。9条以外では14条や25条が、尊属殺や生活保護を巡って裁判になることがありましたが、メジャーな物ではまぁそのくらい。戦後の憲法学・憲法学者はとにかく

9条!・9条!・9条が大事!9条さえ守れば全てはオッケー!!

な状況を作ってきたのです。11条や13条に目を向ける人は、ほとんどいなかった。その証拠に9条を守る会、はあっても13条を守る会は無く、9条デモは行われても13条デモなんて聞いたこともない。13条こそ憲法の急所、民主主義の精華であり、9条なんて枝葉末節に過ぎないのに。強制不妊の悲劇が放置されたのは、憲法学の怠慢の結果ではないのか?

不妊手術の被害者原告団は、国の責任を厳しく追及しています。それはもっともなのですが、憲法学者に対しては何のリアクションも起こしていません。原告本人の考えが及ばなくても、弁護団や支援者が何か発言してもいいはずですが。なぜですかね?

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求権に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法 第13条より

参考文献:日本国憲法の問題点 小室直樹 集英社インターナショナル

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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