「怖い絵」のデ・ジャ・ヴュなエピソード②

前回に引き続き「怖い絵」シリーズの「どっかで見たことあるな〜」エピソード、第2弾です。それは「怖い絵」収録のアルテミジア・ジェンティレスキ、「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」。発表順としてはこちらの方が先ですが、思い出すのに時間がかかったので第2弾になります。「怖い絵」を読んだのが2014年、でエピソードを目にしたのが、やはり2009年頃のグリム童話系のレディコミ。作者は忘れてしまいましたが、艶っぽい絵柄の人でした。前回の話と同様、固有名詞も時代も覚えていませんが、こちらのストーリーはかなり詳細に覚えています。列挙すると以下の内容。

  • 主人公は、絵の勉強をしている女の子(父に、もうバラの花を描くのは飽きた、と言っている)
  • 若い男が「君が美しいから、愛しいから描くんだ」とか言ってる(←多分コイツがタッシ)
  • 裁判での指締めの拷問。父が「娘は画家なんです。手だけはどうか!」と泣いている
  • 同じく裁判での産婆による身体検査
  • ヒゲのお偉いさん(←多分トスカナ大公)がニヤニヤしながら絵を注文
  • 「強姦された女がどんな絵を描くのか、見せてやる!」と内心啖呵を切る主人公
  • 出来上がった絵を見たお偉いさん、「うおぉぉぉっ!」と悲鳴をあげ、顔面蒼白
  • そして「これは、女の描く絵ではない!」と捨て台詞を吐いて、部屋から出て行ってしまう
  • それを見送りながら、内心「やった!勝った!」と思う主人公

しかしこれだけ覚えていて、なぜ固有名詞も何も覚えていないのか、自分の記憶力がナゾです。

この絵は、「技法上の師にあたる」カラヴァッジョの同名作品が元になっているという説明に、どういうことかと気になってました。父のオラツィオは、カラヴァッジョの影響を受けた「カラヴァッジェスキ」というグループの一員だったから、その繋がりなんでしょうね。

しっかし父ちゃん、人を見る目がちょっと。タッシみたいなロクデナシを娘に近づけたらダメでしょう。タッシはそんなに猫かぶりがうまかったのか、男と女では態度が違うヤツだったのか。はたまた「まさか、あの人が!」のタイプだったのか。

「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」、カラヴァッジョ版とアルテミジア版、どちらの方が好きか、といえばやっばりアルテミジアの方ですね。リアリティと臨場感がすごい。力強い腕といい、流れる血といい。そもそもオノマトペからして違う気がします。カラヴァッジョの方は

「や〜だな〜。ギコギコギコ」

ですが、アルテミジアの方は

「ていや〜!ふんぬ〜!(×2)、ゴリゴリゴリッ!、ボキィィッ!

なんですよね。リアルに人が殺せそうなのは、どう見ても後者です。

それにしても「ジェンティレスキ」という苗字、一発で読めませんでした。当初「ジェテレスキ」と読んでしまい、検索が全然引っかからず。こうなったのは、私だけではない、と信じたいです。

参考画像

ホロフェルネスの首を斬るユーディト
カラヴァッジョ版
カラヴァッジョ版
ホロフェルネスの首を斬るユーディト
アルテミジア版
アルテミジア版

画像引用 日経おとなのOFF 2019年6月号   怖い絵 中野京子 角川文庫

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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