「怖い絵」のデ・ジャ・ヴュなエピソード①

このブログでも度々取り上げている中野京子著「怖い絵」シリーズ。読んでいるうちに「どっかで見たことあるな〜」というエピソードに2つばかり遭遇しました。

一つ目は「怖い絵 3」(現在は死と乙女篇)に収録されている、シーレ『死と乙女』。画家シーレとその愛人ヴァリのエピソードです。「怖い絵3」を読んだのが2014年。以前このエピソードを見かけたのは2009年前後、本屋で立ち読みしたグリム童話系のレディコミで、でした。作者は確か一川未宇。固有名詞も時代もよく覚えていないのですが、大雑把な話はこんな感じでした。画家のモデルをしていた女性が(全裸でポーズをとっているシーンがあった)従軍看護婦になったのち、若くして病気で亡くなる、というもの。記憶を掘り起こしつつ「怖い絵 3」を読んでいて、「あぁ、あれはこういう話だったのか」と納得しました。

まぁ、シーレは画家として才能あった方らしいですが、男としては褒められた方じゃないよな、と思います。「女の使い分け」が露骨なんですよね。「身元のしっかりした貞淑な妻」と「下層階級出身の奔放な愛人」どっちも欲しい!って。現在でもそんな男性がいる以上、当時は当たり前だったのかもしれませんが。愛人が黙って付いて来てくれる、と信じていたのが実に都合良すぎ。

しかし、ヴァリがシーレからあっさり去ることができたのは、まだ幸いだったかもと考えてしまいます。多分それは当時20世紀初頭で、女性が働ける場所が増えて来たから。それ以前の社会だったら、また誰かの愛人になるか、それとも娼婦になるか。そんな未来しか見えないのですから、そうなるくらいならこのままでいよう、とシーレにしがみついていたかもしれません。

「エゴン・シーレ 一川未宇」で検索したら、見つかりました。多分この本に収録されている話です。

愛虐のカタルシス〜女たちの激情 一川未宇 著 株式会社 ぶんか社

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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