最近の偉人伝

2年ほど前、本屋の児童書コーナーの偉人伝の区画に行ってみました。「最近は、どんな人が偉人とされているんだろう」と気になったのです。昔とは少し違った角度から選ばれている、という報道もあったので余計に。たしかに、20年程前には目にしなかった人が増えていました。定番のエジソンやナイチンゲールに混じって、ルイ・ブライユやアンナ・パブロワなど。ちょっと立ち読みしましたが、ブライユの伝記、結構楽しく読めました。名前しか知らなかったので。そして「ああ、女性が増えたなあ」などと嬉しく思っていると、意外すぎる名前が目に飛び込んできました。

エカテリーナ2世

瞬間、「時代は変わった!」と直感しました。なぜか?斎藤美奈子の「紅一点論 アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 ちくま文庫」によると、「女が偉人になる条件」としては、

  1. 白人女性
  2. 育ちが良くて勉強好き
  3. 性的に貞淑
  4. 有力男性のお墨付きがある
  5. ポジションがわかりやすい

が、挙げられるらしいので。クーデターで夫を帝位から引きずり下ろした後、自ら即位し愛人が(わかっているだけで)12人いたエカテリーナは、二昔前なら絶対に選ばれなかった人なのです。明らかに3.に違反する上、5.のポジションに関しても、見方にとってはほとんど「悪の女王」なのですから。(ポーランド分割・農奴制の強化など)明らかに「魔法少女」でもなく、「聖なる母」でもなく、「紅の戦士」としても半端な人です。その人が「偉人」として取り上げられるようになったのは、時代が変わった証拠の一つかなと思います。1.2.4.はクリアです。貴族の家に生まれた真面目な勉強家で、ピョートル大帝の孫と結婚した後歴史の表舞台に出て、軍人達の支持のもと即位したので。

内容はというと、愛人たちのことは「恋人」とうまくぼかしていました。人数も書かれておらず、名前が出てきたのも二人だけ。後のポーランド国王、スタニスワフ・ポニャトフスキと、クーデターの立役者のグリゴーリー・オルローフだけでした。

蛇足:マリー・アントワネットも取り上げられていましたが、この人って「偉人」なんでしょうか?私個人の主観では「有名人」であっても「偉人」ではない気がします。(悪女でもないですが)前掲書によると「お姫様」の代名詞としてではないか、という分析でした。母親のマリア・テレジアの方が、取り上げる順番が後になってましたが、これって逆なんじゃないか?しかし、マリア・テレジアの伝記、私が小学生の時読みたかったですねぇ。それにしても、親子で偉人伝に取り上げられるってのもすごいな。

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

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