2016年、乙武さんが選挙に出る!と聞いた時も別に不思議はなく「まぁ、そうだろうな」と素直に納得していました。彼は「頑張ってる障害者」の代名詞的存在で、安倍政権の掲げるスローガン「一億総活躍社会」に実にピッタリ。明るく爽やかで中高年のウケも良く、ネガティヴイメージも殆どない(不倫バレまでは)人だったので。
しかし、この出世パターンどこかで見たような気がしました。特に仕事ができるわけでなく、すごい大発明・大発見をしたわけでもなく、世の中を変える運動をしているわけでもない。が、特殊すぎる生き方がメディアで話題を呼び、本が売れ(ついでに名前と顔も売れ)、最終的に政党から声が掛かって政界入り、というパターン。
えぇ、先達がいました。それは
「ヤンキー先生」事、義家弘介氏。
義家氏の政界進出は2007年なので、約10年ぶりの出来事となりますね。両者の共通点をまとめてみるとこんな感じ。
- 特に仕事ができるわけではない
- 何か大発明・大発見をしたわけでもない
- 何か社会運動を展開していたわけでもない
- 特殊な生き方が注目され、メディアの寵児となる
- 著書がベストセラーとなる
- 顔と名前が売れる
- 二人とも1970年代生まれ
- 二人とも教員経験有り
- 二人とも教育委員経験有り
- しかし選挙話が来た途端、二人とも任期途中で辞任する
- 自民党から参議院出馬を持ちかけられる
- 一部にアンチがいる
- 二人とも「年下の、自分に自信のない女性」と結婚(←オマケ)
こうして並べてみて導き出される結論は、両者とも「強烈な自己顕示欲」と「強烈な上昇志向」を持っていると言った所でしょうか。
さて義家氏と乙武氏、選挙に強そうなのはどちらか?と考えると、即乙武氏になりそうなものです。前述のように、彼にはネガティヴイメージがほとんどなく、オマケに「障害がある」という点で、どこか批判がしづらい。(俗にいう’障害バリア’?)一方の義家氏は「元不良」。そして「元教師」でありながら「元教え子と結婚」という過去があり、これはどうしたって批判の対象になります。それに氏の言説や言動については、多くの矛盾が指摘されていました。
ですが、フタを開けてみれば当選したのは義家氏。乙武氏は不倫騒動のため、出馬すらできなかったためです。2007年と2016年、何が違ったかと考えるとやはりネット空間の発達でしょう。2007年当時も、義家氏に批判的な人たちが一部で活動していましたが、それは一部の週刊誌に載ったくらいで、大きなムーブメントにはなりませんでした。(結果、義家氏当選)しかし、乙武氏の不倫騒動は週刊誌発でありながらネット空間で増殖し、それがリアル社会を動かしてしまったのです。
歴史は繰り返す。ただし二度目は茶番として。
という言葉を思い出します。取り敢えず、税金の無駄遣いが避けられたのは良い事でした。しっかし、世の中何が起こるかわかりませんね。
蛇足:乙武氏の不倫騒動で、「パナマ文書」問題が影に隠れてしまったことを「陰謀だー!」と騒ぐ人はいないのだろうか?
参考文献:「若者論」を疑え! 後藤和智 宝島社新書