大阪2児餓死事件1

この事件が起きたのは2010年の夏のこと。誠に痛ましい事件でした(詳しく知りたい方はこちらのWikiの記事をどうぞ)。

この事件は、社会に多大な衝撃を与えました。そして「怒りとは手軽な娯楽である」といいますが、この事件に関する報道がまさしくそれでして、そのメインは、母親に対する怒りと批判でした。行政や元夫、母親の父に対する批判はあったものの、完全に脇役。とにかく日本全国が怒り狂っていました。しかも、動機の第一報が「子育てが面倒くさくなった」でしたしね。この事件、とにかく対比が強烈だったんですよ。真夏のゴミ部屋で餓死する幼児と、外でホストと遊びまくり、キラキラライフをSNSに投稿する風俗嬢の母親。当然(なのか?)、当時未婚子無しだった私も激怒していました。「何なんだ!この人は?」と。ですが同時に、単純に驚いてもいました。

「なんか、ものすごいジェットコースター人生だな」

「この人、私より若いのにライフイベント多すぎだろ」

って。この人の半生は、というと、部活孤児としてネグレクトされて育ち、10代の頃ぐれて、性被害に遭う。その後、父の知人の下で立ち直り、結婚し妻となり、出産して母となり幸せな家庭を築くも、不倫して離婚して子供二人を引き取ってシングルマザーになって、風俗堕ちしてネグレクトに走ったのち、殺人犯として逮捕。この時点でまだ23歳という若さ。もうほとんどケータイ小説です(ケータイ小説って?という方はWikiの記事をどうぞ)。違いはタイムスパンくらい。書評家・豊崎由美の言葉を借りるなら、「なんという、コンデンスライフ!」といったところか。

事件から15年弱が経過し、報道もめっきり減りました。判決確定後の母親の動向については、支援者夫婦と養子縁組して苗字が変わった、くらいしか流れてきません。ジェットコースターな人生を送ってきたこの人にとっては、いい意味で変化のない日々なのかしれませんが。その影には二人の幼児の犠牲があったと考えると、実に複雑な気分になります。

当時と比べて、現在世の中一番変わったことは?というと、ホストクラブとホスト対する批判が堂々とメディアに載るようになったこと、でしょうか。ホストクラブに対する批判が表に出てきたのは2020年以降であり、この事件発生当時はそんなもの微塵もなかったのです。単に、ハマるヤツの問題だとされていました。それに、この件に関しては、そもそも母親は成人済み、ホストが母親をそそのかしてネグレクトさせていた訳ではないし(母親は、子供は預けているといっていた)、ホストクラブが違法営業していた訳でもなかったので、批判の仕様がなかったのかもしれませんが。

投稿者: 管理人富永

関東在住。気がついたらアラフォー。女性。

コメントを残す