「岩月謙司」を振り返る8 本を買わなかった訳4

理由8 相談者のほとんどが若い女性

この項目は「性別」と「年齢」に分けて考えます。

性別について

岩月の著作に登場する相談者は、ほとんどが女性です。男性の相談者はゼロではないらしいのですが、少なくとも私の記憶には残っていません。つまり無視できるほどの少数派。

岩月理論によると「女性は親からたくさんの愛を必要とするために、親の影響をうけやすい」→だから女性の相談者が多い!のような流れでもって、岩月は「相談者が女性ばかり」という不自然さをカバーしようとしてる印象を受けます。私はすっかりこのロジックを信じてしまい、2003年頃は全く疑問を感じていませんでした。でも本当にそうなんでしょうか?「女性は親からたくさんの愛を〜」って、なんだか後づけっぽくて胡散臭いんですよね、客観的データもありませんでしたし。それに昨今の毒親ブームや、「虐待の連鎖」のルポを見ていると「親からの愛情」の影響に男女差はない気がします。
仮に、五百歩譲って岩月理論が本当だとしても、この偏りは不自然です。

年齢について

相談者の年齢のボリュームゾーンは20〜30代でした(そして前項で指摘したように女性ばかり)。10代が少数なのは、自発的に「相談」にやってくることが年齢的に不可能なこと、親権者の同意がないと相談に乗れないことが主原因だろうと推測されます。では、40代が少数なのは?50代以上の相談者が皆無なのはなぜ?「幼児期の心の傷が様々な問題を引き起こす」なら、戦争孤児である60歳以上の相談者がいてもいいはずなんですけどねぇ。なんででしょう?

岩月は「四十バカはなおらない」という聞きなれない言葉を使ってまで、40代以上の相談にのらないことを表明しています。この「四十バカはなおらない」、読んだ当時から、「こんな表現あったっけ?」と引っかかっていました。手持ちの電子辞書(デジタル大辞林・明鏡国語辞典第二版)で検索しても出てこないところをみると、どうも岩月の造語のようです。そこまでして、高年齢者の相談に乗りたくないんかい…編集者も校正者も「この表現はなんですか?」等突っ込まなかったんでしょうか。

理由9 相談者が美人ばかり

そうなんです!とにかくほぼ全員の容姿が中の上以上。ブスは一人もいませんでした。これ、立ち読み当初から猛烈に疑問でした。単に美人は恋愛の機会が多いからか?ブスはだめ恋愛をしないのか?それとも、美人はだめ男に引っかかりやすいのか?いくら考えても、納得のいく理由が思いつきませんでした。今になって考えると、多分岩月が相談者を選んでいたと思われますが、さてどうやって?直接研究室にやってくる相談者の容姿はわかりますが、手紙を送ってくる相談者の容姿はわかりません(以前にも書きましたが、岩月が相談の手紙を全て送り返していたとは思えない)。返信に「顔写真を同封してください」とでも書いてたんでしょうか?それ以外に思いつきません。

そして不快だったのが、岩月がこの人達の容姿を値踏みしていること。「人形みたいにかわいい」やら、「女優の〇〇似」やら…一つ一つだとたいしたことないんですが、積み重なってくるとイラっとくるんですよね。「それ、相談内容と関係あるんかい」って。(決して、自分の容姿と比較して僻んでいるわけではありません)そもそもこの人、他人の顔にアレコレいえるほどのご面相でしたっけ?中でも一番嫌だったのが(どの本だったか忘れましたが)、「こんなかわいい娘をもったら実の娘でもオンナを感じてしまうかもしれないなぁ、とお父さんに同情しながら話を聞いた」とかいう文でした。とにかく猛烈に気持ち悪くて、気持ち悪くて、大根がすりおろせる程鳥肌がたちました。…あれ?後の事件のことを考えると、これはもしかして「自白」だったのか?